輝く朝

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FUJIFILM X series Facebook3月9日より転載


【和の「写心」 By Masaaki Aihara】

「輝く朝」 北海道 網走・呼人付近
FUJIFILM X-Pro2 + FUJINON XF16-55mmF2.8
フィルムシミュレーション ACROS+Rフィルター
アスペクト比 1:1設定

前日までの低気圧が過ぎ去り、輝くような光が大地を覆う。そして澄み渡る夜明けの大気は、放射冷却を呼び起こし気温はマイナス20℃近い。鼻毛も髭も凍り、カメラも凍りつく。深呼吸すると肺の隅々が凍りつきそうだった。

厳寒の朝の太陽は、新雪をキラキラ輝かせる。そして木々に氷の花を咲かせる。原野の中に立つと、お気に入りの木が、この朝の光の中で「きれいに輝いているから撮って撮って」とシグナルを送ってよこす。この木の存在感を大きく神々しく見せるために、画面真ん中にどんと据えることにした。ただ普通の画面のアスペクト比(画面の縦横比)だと、今一つ緊張感が足りなくなる。そこでアスペクト比を1:1に変更した。フィルムカメラでいうところの6×6判の比率だ。真四角な画面は中心にくる主題を力強く表現してくれる。そして樹の後ろに立つ、防雪林の霧氷を、まるで木を取り囲むフリルのように、シンメトリーな位置で見せて構図を決めた。今でも僕はフィルムカメラで真四角な画面が好きで、Hasselblad 503CX + Zeiss Planar 80mmにACROSフィルムを使っている。
今回はX-Pro2でほぼ同じ設定で撮影できた。今回はRフィルターモードに設定している。これはフィルム時代でも、モノクロフィルムはすべて、Y(黄色)・O(オレンジ)・R(赤)のフィルターを装着して撮影していた。コントラストの強弱のためです。基本的にモノクロでは、ノーフィルター撮影はしない。特にRフィルターにすることで、コントラストを上げて、空を黒く落とすことができる。これによりフィルムでの作品と並列してプリントして展示した場合、ほぼ階調を揃えて展示することが可能になる。それが出来るのもX-Pro2のACROSモードの特長だ。

そして何よりも、ミラーレスタイプのXではミラー式の一眼レフでは難しい、アスペクト比の変更が簡単にできる。アスペクト比1:1の作品は力強さとフォトグラファーの主観を強く訴えてくれる。古今東西の名作の写真にスクエアフォーマットの作品が多いのもうなずける。ただよく、写真のテキストなどでは、日の丸構図はダメですよと書いてある。でも写真を含めてアートにこれはダメという法則はない。100回シャッターを切れば100回、1,000回シャッターを切れば1,000回の撮り方がある。だからこう撮らなければいけないと決めないでもらえればと思う。Xシリーズは新しいカメラシステム。使う皆さんが自分なりのX哲学を持って撮影すれば、あなたにしか見えない、撮れない世界が出来上がる。それが作品です。
いつか僕もX-Pro2で、マーガレット・バークホワイトが撮った、ダムのような作品を撮ってみたいです。皆さんもぜひ、ご自身の世界観をX-Pro2のACROSモードで作り上げてください。

 



by masabike | 2016-03-15 10:19 | 日本植物 | Comments(0)
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