心の故郷 クレイドルマウンテン


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FUJIFILM X-T1+55~200mm


年末はお正月を故郷で過ごす人たちで帰省ラッシュがピークを迎えようとしている。僕も年が明けたら、少し遅めの帰省?でタスマニアにもどる。今回は超ショートスティだが大地の香りを味わい、空と月と星と語ることは出来そうだ。よく写真展やワークショップで、撮影データーを教えてほしいと頼まれることが多い。フィルムだけの時はかなり困った。広告撮影で4x5の時はデーターを取るが、風景で撮影の時はほとんどとらない。そしてどのようなテクにするかも考えない。正確に言うと考えるのではなく、無意識に撮れてしまうので、あとから説明しようがないというのが正確な所だ。そのためのメンタルな部分はだいぶある。それは著書「ランドスケープフォトの極意」に詳しく記してある。だから撮影データーやテクは秘密ではなく、無意識に撮れてしまうので隠しようもない。だからうちのアシスタントさんたちには、オーストラリアやほかの風景等を撮影している時には、「今こんな感じで撮れている」とファインダーを見て何かつかんでいただく(先日ワークショップでファインダーをお見せして、こんな感じと言ったところ、お客様より「こんな感じってどういう意味ですか?」と逆に聞かれて困ってしまった(笑)

 先日あるキュレーターの方が「写真雑誌や写真展を見ると、風景写真では特に、作品を見せてテクニックやデーターを解説しているフォトグラファーが多いけどほとんどがただきれいで作品のレベルに達していない。お手本写真と呼ぶべきで、お手本写真家と言った方が良いのでは」と言われた。まさしく僕もそう感じる。「この写真を見たら、この写真家に違いないとか、xxxxさんのこの1枚と言ったらこの作品ですね」と思い浮かぶ人が少ない。その写真家だけの世界観というか、風景では宇宙感が必要だと思う。アンセルアダムスだったら「ニューメキシコの月の出」サルガドだったら、油田で働く人、野町さんだったらメッカの巡礼の写真かベドウィンの眼の作品、奈良原さんだったら「王国」の修道士さんの目を閉じた作品などなど、思い浮かぶ。でもいつのころからか風景写真家は風景お手本家になってしまった人が多い。それはティーチングと講評をメインの仕事にしすぎたからかもしれない。


写真家にもゴルファーと同じでトーナンメントプロとレッスンプロがいる。前出のアンセルアダムスやサルガド、野町さん奈良原さんは言わずと知れたトーナメントプロ。作品を売るか、あるいはメディア(この場合のメディアはカメラ雑誌ではなく一般誌や新聞、あるいは広告)で作品を使ってもらいそれでギャラを稼ぐ場合だ。いつしか多くの日本の風景写真を撮るプロはレッスンプロになっている。そうするとどうしても教えるための作品を撮っているうちにそれが本来の作品になってしまう恐ろしいパターンだ。広告だと、お客様を捕まえる、キラーフォトと呼ばれる一撃必殺の1枚を撮れないとお終いだ。写真展でも、プレゼンテーションでもそうだ、お客様やクライアントをくぎ付けにする1枚がないとだめ。それがないと「次は頑張ってくださいね」と言われて、でも決して2度とお呼びがかからない写真家になってしまう。

そして作品ありきで勝負するためには、広くいろいろな作品を見て、感じて、そして撮ってみること。その中で風景に特化するべきと感じる。人物のモノクロポートレイトはそのためにも基本中の基本だと思う。今年は蝶六師匠のおかげでたくさん素晴らしいモノクロのポートレイトを撮らせていただけた。そこは基礎力の維持とさらにUPのために大事な撮影カテゴリー

昨晩フィギアスケートの選手権を見た。スケートではみなさんご存知のようにテクニカルポイントとアーティフィシャルポイントの合計で競うことになる。プロの写真かもそうしたらよいと思う。あっでも僕はテクニカルポイントがだめかもしれない。基本が撮って出しでphoto shop使わないので、テクニカルの基礎点が低くなるかも(笑)


やはり良い作品を創るために最前線でもまれることが作品に緊張感をかもし出すのと、その緊張感がさらなる高みへの集中力につながり、無意識に作品を撮らせてくれると感じる。もうすぐ2015年。おかげさまでいろいろなお仕事の声をかけていただいている、そしてもちろん自分の作品を撮る為にもオーストラリアへ行く。かなり無理をしてでも行く。その訳はお手本写真家にならないためだ。僕はいつまでも写真家でありたいし、それ以上でもなければそれ以下でもない。常に精進することそのために2015年に向けて只今コンセントレーション中!!!





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by masabike | 2014-12-28 18:04 | タスマニア | Comments(2)
Commented by K.Yamada at 2014-12-29 08:16 x
間:日本文化の基本思想

 私のコメントは、いつも肩に力が入り過ぎてrigidだなと反省しております。でも、写真家相原正明さんのこのような写真に対する真摯なブログを読ませていただくと、どうしても心が引き締まってきます。
 定年から間もなく始めたカメラ、3年経過しました。人生の4コーナーを曲がった今、趣味とは言え、肩に力が入るのも、写真に正面から向き合っているということでご容赦ください。ゴメンナサイ。

 「蝶に始まり蝶に終わる」のブログですが、写真家相原正明さんのテーマのひとつである「間」。今後、これがどのように表現されていくか、期待感で一杯です。
 これを契機に「間」について少し勉強しました。一番参考になったものは、日本大学芸術学部紀要2005に掲載されていた「間:日本文化の基本思想 藤原成一著」(ネット検索で、PDFオープンアクセス可能でした。)です。
 「間は、死生観」にも通ずるとのこと。ウ~ム。益々、興味が沸いてきました。

 私の今年のクリスマスには、アマゾンがサンタさんから依頼されたとのことで「DVD 美しき日本の風景 信州編」を届けてくれました。お年玉には「虹大陸」がいいな。
Commented by masabike at 2014-12-30 21:51
yamadaさんへ
ディープなDVDお買い上げありがとうございます。虹大陸はお勧めの1枚ですが、もう在庫がないのでは?本当にお買い上げありがとうございます
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