永遠のゼロ

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ちょうど先週オーストラリアはANZAC DAYの国民の祝日がありました。いわゆる戦争のメモリアルディ記念日です。ANZAC日本ではあまり聞き覚えのない言葉ですが、第1次世界大戦時のオーストラリア&ニュージーランド連合軍を意味する言葉です

第1次世界大戦当時、イギリス軍の一翼として参戦していたANZAC軍は難航不落と言われた、トルコのガリポリ要塞を攻略します。そこでイギリス将校のたてた無謀極まりない作戦で、累々たる屍をガリポリ要塞の前に築きます。いわばオーストラリア版に203高地です。203高地とは日露戦争時、ロシア陸軍守備隊旅順港を攻めるため、日本陸軍がその旅順要塞外輪山の203高地を攻めるのに、単に無謀な肉弾突撃を繰り返すのみで、日本兵の屍の山をきづいた作戦です。最終的に海軍の協力もあり旅順は陥落するのですが、ガリポリも同じような作戦でした。ただANZAC軍はイギリス本国軍に対して、植民地・新生国の意地を見せ、無謀とも思える作戦を貫き通し、何万もの若いオーストラリア・ニュージーランドの兵士が地中海の躯になりました。その悲劇と国のために尽くしてくれたことをたたえるためにANZAC DAYという祝日になりました。いまはだ2次大戦、ベトナム戦争、湾岸戦争などオーストラリアがかかわったすべての戦争で戦った兵士を労い、たたえ、弔う日になっています。いつの時代でもどこの国でも、おろかな将校や将軍のたてた愚かな作戦のためになくなるのは、いつも末端の前線の兵士たちです。命令に逆らえない兵士たちがいつもその犠牲になります。そして作戦を立てた将校将軍は絶対に死なない安全なところにいます。置き換えてみれば、現代のビジネス戦争にも言えるかもしれません。いつもリストラされたり、詰め腹切らされるのはビジネス前線にいる現場の社員です。
 話を戦争に戻すと、ちょうど今回オーストラリアに行くとき成田空港で見つけたのが「永遠のゼロ」。ちょうどANZAC DAYもあるから第2次大戦時の話もよいかと、軽い気持ちで買いました。ちょうど半年ぐらい前に、僕のクライアントのYさんが「相原さん、この本絶対読んでよ、絶対だよ」という言葉をそのとき思い出しました。ANZACDAYを4日後に控えた、タスマニアの森で読み出しました。最初は単に「あっ神風特攻隊をモチーフにしているのか」と思いました。でもそれは数ページ読むと単に戦記物ではないということに気が付かされました。600ページを超えるストーリーでしたが3日間で一気に読みました。撮影しているどころではないというぐらいおもいました。この本は戦争を美化するわけでも単に悲劇をお涙ちょうだいで書くものではないです。改めて戦争を随行する上層部の愚かさ、それを利用するマスコミ、そしてそれに翻弄されながらも、決して英雄英霊にならなくてもよいから、生きて愛する人のもとに、魂だけになっても帰らなければという物語です。そしてプロフェッショナルとは何かとも問われる物語です。作者の百田さんは多分膨大な資料を読み研究し自分の言葉で咀嚼して書いていることが良くわかります。とても時間をかけとても丁寧に書かれた小説です。プロフェッショナルとして仕事をして何が何でも生きて帰る、自分を取り囲む死神の壁にわずか1ミリでも隙間を見つけ、そこから生を掴み取ろうとする話。


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自分の仕事とも重ね合わさります。戦争ほど危険ではないですが、いままで何度も、ひゃっとするめ、あるいは危なかったというのがあります。オーストラリアを撮影して25年目、とりあえず今まで無事に生還しています。一人身の時はあまり考えなかったですが、結婚してから必ず無事帰らなければということは強く思います。数年前、結婚当初砂漠であるトラブルがありました。そのとき頭をよぎったことは「わずか数か月でうちの奥さんは未亡人か、申し訳ない」ということでした。だから以前よりもより生への執着が強くなり、無事帰るための安全策努力をより一層怠らないようにしています。海外への旅立ち前、うちの家内のメモ書きや撮影から帰ると仕事机の上に「おかえりなさい」手紙があります。そのつどきちんと仕事してなにがなんでも無事帰らなければと心に念じます。命がけとと一生懸命にやることが軽んじられる今の日本、何かの節目に「永遠のゼロ」読んでみてください。愛する人のために命を懸けることがどれほど大変か感じていただけると思います。


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by masabike | 2013-05-03 09:52 | Comments(0)
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