ドイツで思う写真の進化

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Nikon F2  Nikkor28mm  50mm  FUJIFILM presto 400 EPSON GT-X900
撮影地 ブレーメン  フランクフルト


 今年は偶数年、オリンピックもあるけどフォトキナのある年。日本でアマチュアの間ではあまり聞き覚えの無い名称だが、世界最大の写真コンベンション、写真業界のオリンピックでもありワールドカップでもある。2006年はじめてフォトキナで個展をやらせていただき、その後2回2008年、2010年 富士フイルムさんで大型の展示をやらせていただいた


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そのとき、はじめてドイツを訪れた。もちろん自分の展示を見るためだったけど、もうひとつ大きな理由が「世界の写真文化の中心はドイツ」と富士フイルムの方にも他の写真関係の方にも言われたので。ぼくはフォトキナの前に「なんで世界最大の写真コンベンションが、NYでもなくパリでもなく、東京でもなくドイツの地方都市ケルンなんですか?」と聞くと、だれもが「ドイツは写真文化の発祥の地、昔は、そしていまでも世界の写真文化の中心だから、どんなにビジネス的にNYや東京が勝っていても、歴史にはかなわない」と言う答えが多かった。そしてベルリンの駅前にはヘルムート写真美術館もあるというのがわかった。またあるADさんに聞くと、グラフィックデザイン工業デザインでもドイツは世界の中心だからとも言われた


そんなドイツ、多くのギャラリーで写真展を見た、過去の名作も沢山見た。昨日ミッドタウンの富士フイルムスクエアでユージンスミス写真展を拝見した。作品からにじみ出る人間性、息を呑んでしまうまさに凝縮された時間がプリントからかもし出される。見終わったあと「作品を見た」という充実感で心が一杯だった。でも最近考えていることがある、2002年ぐらいよりデジタルカメラそれに付随して、新しいレンズや撮影補助機材、ソフトウエアーなどなど山のように出ている、しまさに1日ごとに進化している。フィルム時代では撮れなかったシーンが撮れる様になってきた

でも、でも、でも、デジタル機材になってから僕の知る限り、またほかのフォトグラファーから、これがまさに世界の今年の名作だよ、と言う写真を見たことが無い。アンセルアダムスをしのぐ、風景写真。ジャンルーシーフをしのぐポートレイトなどなど。誰もアンセルアダムスの写真を見て画素数が低いとか、沢田教一や、セバスチャンサルガドのトライXの写真を見て「ノイズが出ている」なんて言わない。

技術の進化は本当に、よい作品を作り出してくれるのだろうか?技術の進化はいつの間にかに作品を鑑賞することより、作例を品定めすることにすりかえてしまったのではないだろうか?そしてフォトグラファーは作品を撮ることではなく、画像や作例を撮ることに妥協してしまったのではないだろうか?

あるカメラメーカーのマネージャーの方が、僕が作品をエンジニアの方にお見せしていると、エンジニアの方が「すばらしい画像ですね!」と言うと、マネージャーさんが「作品と言え」と一括してくれた。とてもとても嬉しかった。僕らもデジタルを使い、撮影現場でも携帯やスマホを使いリアルタイムで、クライアントやスタッフとコミュニケーションすることが出来便利になり、また撮影後瞬時に、ブログやソーシャルメディアで作品を世界中に見せられる。便利なはずなのだけど、何か大きなものを忘れた失っちゃつた気がする。


それはフォトグラファーが時間と光の狩人として、孤高になる時間。獲物とおのれとだけの対峙する時間、そして作品を創るために熟成する時間。それが足りなくなったのかもしれない。いつかどこかで誰かが、アンセルアダムスやルシーフやアベドンと並ぶ作品を作り上げてくれればと思う。うぬぼれかも知れないが、僕はそれに挑戦したい、そしてな楽しんでく苦しんでまた楽しんで成し遂げてみたい








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by masabike | 2012-03-10 08:48 | ドイツモノクロ | Comments(8)
Commented by nakky85 at 2012-03-10 09:09
考えさせられますね。
でも、世の中の流れが概ねでそういう方向に流れていってしまってる気がします。
音楽なんかも・・・
Commented by tes_music_system at 2012-03-10 09:47
これからも期待しています!
Commented by burg at 2012-03-10 10:08 x
ミケランジェロの彫刻を語るとき、彫刻刀はなにを使ったの?
って話すのが好きな人種ですから。笑
Commented by kumimone at 2012-03-10 11:21 x
魂が込められ、気迫を感じる作品には心を動かせます。
今後どう進化するか分かりませんが、例えばフレーミングをカメラが選定したり、シャッターが切れるタイミングをカメラが決めたり、人間が関わる部分が減るたびに、画像として完成度は高くても、感動しにくくなると思います。
少し違うけど、歌も楽譜どおりでも心がこもってないと感動しませんし。
いつもこのような考えをお持ちの相原さんの作品を楽しみにしてます。
ところで、一番上のスナップの方たち、とても良い表情ですね。
Commented by masabike at 2012-03-13 08:36
nakkyさんへ
そう本質を見るのではなく、枝葉ばかりを見ている気がします
Commented by masabike at 2012-03-13 08:36
tesさんへ
ハイ!じっくり見てくださいね
Commented by masabike at 2012-03-13 08:37
burgさんへ
そのうちにレンズの部材までカメラ雑誌に書くときがくるかも
Commented by masabike at 2012-03-13 08:39
kumimoneさんへ
どんなに人気のあるFCのレストランより、地元の定食屋さんが美味しいようなもです。一番上のおじさんたち、日曜の朝ビールを飲んでご機嫌でした
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