主役と脇役

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Nikon D700 Nikkor14~24mm  70~200mm

北海道の美幌峠で、夜明けの撮影をしていたときです、目の前は屈斜路湖、後ろは美幌の町に続く高原と360度のパノラマです。僕以外にハイアマチュアもしくはセミプロ2人と、プロカメラマン1人の方がいらっしゃいました。僕も含めて全員、屈斜路湖に上がってくる朝陽を狙っています。でもその日の月齢は14夜。夜明けの少しあとに月の入りがあります。

皆さん、正面屈斜路湖の色変化に眼を向け、その間おしゃべりをしています。そして僕はその間後ろの獲物を探しています。自分の後ろの木立の辺りに月が沈むからです。誰一人として後ろを見ません。プロの方は他2人のアマチュア風の人に、夜明けで高コントラストのときいかにデジタルでレイヤードするかを説いています。僕はターゲットを見つけひたすらシャッターを切ります。そして正面の屈斜路湖も、微妙な雲の変化に気づき、フィルムでパノラマ撮影します。でも皆さんまだおしゃべりしています、そして僕があらかた撮影が終わったころ、彼らは「XXX山が見えた」とか「湖面が見えた」とかでシャッターを切り出しました

この行動の差が実は運命と言うか作品の分かれ道です。夜明けの美幌峠=正面、屈斜路湖からの日の出という主役に眼を奪われすぎて、後ろに沈む14夜の月という名バイプレイヤーという存在を忘れています。時として名わき役は主役を食ってしまいます。コンテストなら別ですが、写真展や写真集あるいは組み写真の仕事では主役だけではストーリーができません。映画で主役のブラピだけが2時間出ていたら映画にならないのと同じです。

他3人が、月の存在を計算していなかったこと意外に、撮影中のおしゃべりがあります。おしゃべりをするなとはいいません。でも写真は2つの楽しみがあると僕は思います

1つは自分のよりよい作品作り。このときは無言で、金剛力士のように300%集中して撮ります。もうひとつは楽しく撮る、写真仲間の友達やサークルの人と撮っている時間の共有化で、写真を通じて楽しいコミュニケーション作りです。こんなときはおしゃべりわいわいがやがやです。「え~その新しいレンズどう?」とか「この前の撮影で沼に落ちたんだって」などなど写真を通じて楽しい会話と時間を楽しみます。

僕も後者のときは、作品を作ると言う気持ちははなから無いです。撮れてもそれはまぐれです。この2つを同時進行は聖徳大使でもなければ無理です。よい作品作りか楽しむかどちらかを選択してください

作品を作るフォトグラファーというのはハンターでスナイパーです。ハンターやスナイパーは獲物を狙っている冠、おしゃべりしたらお終いですそして注意力が落ちれば、どこかに隠れているかもしれないもうひとつのターゲット脇役を見失うことになります。是非秋の紅葉シーズン脇役に注意して皆さんよい作品狙ってください

風景は360度変化します、是非目の前が絶好調のときは後ろ、横、あるいは足元や真上の変化にも気をつけてください。ただ見極めも大事です。2兎を追うもの2兎をも逃すことになるので

写真の一番上は、津別峠です。月の出ているときの美幌ではデジタルは正面は撮っていないので、類似のシーンの津別峠です


撮影協力 大島秀昭氏 青山元氏


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by masabike | 2011-10-27 08:33 | 日本植物 | Comments(4)
Commented by burg at 2011-10-27 12:24 x
お決まりの場所でお決まりのカットを。
これも確かに大事でしょうし。
でも開けてみたら誰もが同じ写真。
いつかの小湊鐵道で見たベトコンのように?
よくある話ですね。
この月の光景に目を向けた時点で勝負ありました。
Commented by kumimone at 2011-10-27 22:16 x
趣味だったら、気合い入れようが、楽しく撮ろうが自由ですけど、プロは本当に大変ですよね。
本当の大変さは分かりませんが、レベルアップした写真撮ろうと思っても難しいですから。
確かに(失礼ですが)、世界遺産全集みたいな本は素敵な景色で一杯ですけど、全体的にはいまいちな感じしてました。
自分も確かに今まで主役ばかり狙ってたかも知れません。
次の撮影は360度見ながら撮ろうと思います。
Commented by masabike at 2011-10-28 08:46
burgさんへ
ご理解感謝です
Commented by masabike at 2011-10-28 08:47
kumimoneさんへ
世界遺産写真集とかは観光目的も強いので、万人向けで割と当たり障りの無い作品でまとめる場合が多いですね
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