PENTAX 645NⅡ 150~300mm FUJIFILM ASTIA100F EPSON GT-X900にてスキャン ASTIA100F、日本の風景、とくに湿潤な風景の撮影に欠かせないフィルムだ。 今回の北海道の撮影でもASTIA100Fを多用した。ASTIA100F?風景?と思われるプロ&アマの写真家の方は多いはずだ。風景だったらベルビアでしよ!しかも偏光フィルターで! ASTIA100Fはモデルさんや人物用のフィルムでしょ!とお考えの方も多いはず。 いままで何度かブログで書いてきたように、写真は物理や数学ではないので、これが定石とか方程式というのは存在しないと思う。その定石や方程式に必要以上とらわれたときに、作品を撮る機会を逃すことになる。全てのフィルムやカメラやレンズ、あるいはソフトウェアーは自分なりの作品を生み出すために存在する、だからイメージに合った機材を選ぶのが大事。そこに枠をつける行為は一番危険。 初心者や初歩のころは、有名な作品をまねすることは大事だと思う。スポーツでフォームをまねすることから始まるのと同じ。でもまねし続け自分なりの世界観を見つけられなくなったらおしまいだ。先日も書いたように、北海道といえば富良野・美瑛の定番の丘、タンチョウの定番の橋に固執するようなもの。 風景=ベルビア+偏光フィルターという図式は、自分の見た世界観を小さくするのと、他人との作品の差別化ができなくなる一番恐ろしいこと。プロであり続けるためには、上手なのは当たり前、いかに人と違うか、いかにこの人だったらこの世界観、この作品を作り上げるかということ。 だったらみんなと異なるフィルムやシステムを使うことも大事なこと。そしてデジタルであれば、多くの写真家が、撮影の色モードや、ホワイトバランスやトーンも選択し、いじる。でもフィルムを使うとなぜか風景の人は1銘柄のみ。デジタルと同じようにフィルムの銘柄を選ばないのだろう?ときにはカラーではなくモノクロも選択肢に入れないのだろう。 よく海外で言うジョークで、タイタニック号が沈むとき、救命ボートが足りず、男性客に残ってもらうときの説明で、「あなたはイギリス人ですか?だったらジェントルマンは残ってください!」というのがあり、日本人の場合は「あなたは日本人ですか?だったら皆さん残っているので船に残ってください」というのがある(ほかにアメリカ人、フランス人、ドイツ人などのバージョンがあるのでネットでお調べください)いかに他人と同じではなく、他人と異なるかを考えてください ASTIA100Fというフィルムはある意味現在では非常にマニァックなフィルム。でも粒状性世界一をほこる微粒子フィルムであり、その柔らかな絹のような色再現性は、雨や雪、霧の景色に最高だ。そして必要上に色を主張しない。今回の霧のシーンのところでは、ベルビアだと森の緑が必要以上に強調されてしまう。だから控えめでシルキーな美しさのASTIA100Fを選んだ。特に写真展や写真集を考えると色のバランスは大事。ブログやコンテストみたいに1枚ものは、なんでもベルビアでもよいが、写真展は一大絵巻物、料理で言えばアラカルトではなくフルコースメニュー。全部ベルビアだと、全ての料理がスパイシーでこってりなのでデザート食べ終えと疲れてしまう。だから要所要所に、あっさり味の魚料理や野菜を入れるのと同じ。撮影時にどうやって展示するかまで考えると、シチュエーションによって、ASTIAかVelviaかはたまたモノクロかデジタルかという多様な選択が迫られる。そこまで考えないと大型の個展やフォトキナなどの海外の写真展では通用しない。 そしてそのASTIAの性能を引き出すために、いいレンズを使う。NikonだったらEDかナノクリスタル、キャノンだったらLレンズ、ペンタックスだったらEDかスターレンズを使いポテンシャルをひきだしてあげる。そんなとき偏光フィルターを使うのは愚の骨頂。せっかくの素肌美人に分厚い厚化粧させるみたい。これはデジタルでも同じで何十億円かけてメーカーがレンズ、CCD、シーモスセンサーを作り上げても、偏光フィルター1枚で台無しになる。あくまでフィルターは補助で、なければないほうがよい。僕も念に1~2回は偏光フィルター使いますが、あくまで水面の反射等を消すだけ 本来のメーカーさんの持っているレンズやセンサーのポテンシャルはものすごく高いです。ぜひそれを信じてください。 先日も北海道で、帯広の写真家戸張さんと「なんで風景の人は偏光フィルター常用にするのかね?」という話になり「宗教じゃない(笑)」という話になった。話は少し脱線したが、ぜひ皆さんいろいろなシーンでいろいろなものを試してください。そしてアマチュアを指導するティーチングプロの皆さん、ぜひワンパターンの「風景+ベルビア」「風景撮影には偏光フィルター常用」という間違った、ご指導をお考えいただきたいです ブログを読んで本当かな?と思ったフィルムカメラ使用の皆さん、この梅雨の雨の日にぜひぜひASTIA100F使ってみてください(残念ながらブロニーサイズのみです)湿潤な日本の和の風景があなたの家のライトボックスで見られます *ただブログでの解像力ではASTIA100のすごさが見せられないのが残念です。今度家に見に来てください(笑&汗) おしらせ おかげさまで6月11日GF670W セミナーは満席のため締め切らせていただきました。多数のご応募ありがとうございました 6月3日より6月16日まで福岡富士フイルムフォトサロンにて個展Short Black &Flat white開催。 冨士フイルムフォトサロン福岡HP 6月3日熊本スライドトークショウのご案内 福岡スライドトークショウのご案内 日本の風景応援クリックお願いいたします
by masabike
| 2011-05-30 11:03
| 日本風景
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Comments(8)
まだいろいろな事情で(懐具合等々)ブローニーの世界は未知ですが、その前に、今持っている機材でいろいろな被写体を試行錯誤しながら撮りたいと思います。
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はじめまして。この記事を読んで、ASTIA100Fで雪景色を撮った時、雪にきっちり階調が残ってびっくりしたことを思い出しました。僕はほとんどデジタルですが、フィルムでは冬にトレビ100C(在庫がないときはPROVIA100)で撮るのが好きです。空や霧氷が冷たそうに写るので(錯覚かもしれません ^^;)
私も相原さんに影響され、ASTIAを使い始めたら、35mmが廃番になり、ちょっとショックです。時々、あちこちのカメラ屋さんで見掛けると、全部捕獲し、冷凍保存してます。
ASTIAはレンズに左右されますか。 高いレンズは少ないので、これから増やしていきたいです。 まだまだ、テクはないので、色々な方の写真から学んでますが、確かにVELVIAばかりは疑問でした。 フィルムとデジタル両方使ってますが、今後は少しオリジナリティも考えながら撮りたいと思います。
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shangkato2 at 2011-05-31 03:11
先生のブログを見てAstiaで花や春の風景を撮ったら、それがさわやかでなんとも言えませんでした。
ベルビアは逆に街撮りに使うようにしています。ドキュメンタリータッチでそのほうが欧州ではいい雰囲気がでます。 海外ではまだAstia入手できますので今のうちに抑えておいた方がよさそうですね。
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masabike at 2011-05-31 07:36
TOMOWLさんへ
懐具合大事ですよね!でも今中版カメラ中古で大分安くなりましたよ
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masabike at 2011-05-31 07:37
sawadaさんへ
冷たそうな質感が伝わるところがアスティアのすごさです
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masabike at 2011-05-31 07:38
kumimonoeさんへ
アスティア35㎜廃版かなり痛いです。僕も困っています
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masabike at 2011-05-31 07:40
shangkato2さんへ
海外旅行に行く人に、お土産はASTIAと頼もうかな?あと先生ではなくてよいですよ(汗)
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プロフィール
1958年東京都出身。日大法学部新聞学科卒。7年半のサラリーマン生活の後、パリダカールラリーを目指し、そのステップとしてオーストラリアへバイクでの砂漠縦断に行くが、そのままオーストラリアの虜になる。
現在はフリーカメラマンであり、フレンド・オブ・タスマニア(親善大使)としても活動中。 メールはこちらにお願いいたします。 masabikejp@yahoo.co.jp 写真のテクニカル的な質問には、クライアントさんとの関係もありお答えできない場合がございます。ご了承下さい。 ※ サイト内の写真の使用ならびに無断転用を禁じます。 Copyright©MASAAKI AIHARA ↑ブログランキング参加中。是非クリックして下さい。よろしくお願いします。 ◆相原正明オフィシャルHP New Photography coming Masaaki Aihara Official HP Masaaki Aihara Face book Face book 友達申請の時は必ずコメントお願いいたします。コメントがないと商人いたしまねます。 *相原正明作品収蔵のタスマニアクレイドルマウンテンThe Wilederness GalleryのHP http://wildernessgallery.cart.net.au/cat/2047951.html ◆相原の大型作品が 4点展示されています。 2007.4.27 OPEN モダンオーストラリアン レストラン「Salt」 http://www.pjgroup.jp/salt/ 新丸の内ビル6F (東京駅丸の内北口) ◆ご希望がありましたら、下記『ライフログ』より相原の作品をご購入いただけます。 タスマニアの四季を9万カットの中から厳選した写真集「静かな場所」と、13年間のオーストラリア撮影の総決算DVD写真集「虹大陸」がございます。 ライフログ
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