![]() NikonD700 Nikor28~70mmISO6400 今写真展の帰り道です。東京に向かう高度12000メートルの書斎です。写真展ではいつもとても緊張します。心臓がバクバクします。だから帰りの飛行機や電車の中はぐったりです。写真展を始めてもう16年近くなりますが変わりません。作品はもちろん全知全能を尽くし最低100%のクォリティーを目指したものです。でもどこかもっとよく作れたのではという欲もあります。だから最初のお客様をお迎えするときは一番怖いです。どんな風に思われているのかなと、コンセプトが伝わっているのかなとか。作品は自分の分身です。だからだめを食らうと、ほぼ自己否定になってしまいます。だからものすごく緊張し思いもこめます。帰るときお客様が満足の表情をされたとき一番嬉しくて、何年の苦労、写真展の運営の苦労も吹き飛びます。 最初のころ、プリントを販売していたとき、年配のお客様より「なんで写真がこんなに高いの?うちの近所のスーパーでプリントしたらこの十分の一だよ」といわれました。さらに「ネガって貸してもらえるのそうしたら、スーパーでプリントしたいのだけど」といわれ唖然としました。写真展をやるたびに今でも日本でプリントを売る難しさを通関します。オーストラリアで写真展をするときキュレーターさんは、いかにしてプリントを高く売るかを考えます。もちろん写真展のプレゼンのときに過去にどれくらいの枚数のプリントがいくらぐらいで売れたかも、キュレーターはフォトグラファーに聞きます。そのとき「日本では1回の写真展でどれくらい売れるのかと」「日本の写真展はプリントはあまり売れない」と答えると「????では何のために写真展をするのか」「見せるため」と答えると「信じられない」と言っていた。 あるときフランス人のフォトグラファーが「日本で個展をしたいのだけど、単価設定はいくらぐらいがいいかな?少し安めでもたくさん売れて、かえりはファーストクラスで帰りたいな」と聞くのでやはり「日本では写真展はプリントは売れない、見るだけ」と答えると「じゃー子供の学芸会とおなじじゃないか。なんでブランドのバックや靴には金を出すのに写真にはかねださないの」といい彼は写真展をやらなかった。本当に日本はこの前もブログに書いたようにカメラ大国で写真文化貧乏国かもしれない。 タスマニアのウィルダネスギャラリーで僕らフォトグラファーの写真を買っていくお客様はお金持ちの方もたくさんいます。でも彼らは意外と写真が好きでも小さなコンデジしかもっていない場合が多いです。デジタル一カメラは持っていないです。以前プリントを買っていただいた、コンデジぶら下げた小金もち風のイギリス人のおじさんに「写真が好きならいいカメラ買わないのですか?」と聞くと「どうせ自分がとっても君たちほど上手には撮れない。だったら君たちが撮った作品を買い部屋に飾るほうが合理的だろ。そうしたらそのお金で君ももっと作品が撮れるし」といわれました。そうつまり作品を買うことにより、フォトグラファーを育てると言うことになります。そして作品を買うと言うことはそのフォトグラファーのパーソナリティーも買うことになると言うことも教わりました。「君とギャラリーで話していたら、その撮影のときの気持ちが伝わり作品を買いたくなった」と言われました。心技一体にならないと作品は売れないことを実感しました。 今までは日本ではプリントを売るのは大変でした、でも今ネットの世界です。売るためのネットワーク、チャンスも以前より飛躍的に増えました。そんなときブログから育ったburgさんなどがプリントを販売しはじめました。とてもすばらしいことだと思います。もうもろ手を挙げて応援したくなります。 そしてプリント販売は作品の内容とプリントのクォリティーの両方が問われます。いくら内容がよくてもプリントがチープであればだめです。 何万円と言うお金をお客様から頂戴します。プリントにも全力を挙げます。飾る部屋の明るさ、壁によっても変わりますので微調整が必要です。ですからburgさんも当たり前ですがプロラボでプリントしています。しかもフォトキナクオリティーのラボで。ぼくもプリントは写真弘社やクリエイト銀座の匠たちにしか頼みません。彼らはフォトグラファーのフィルムやデジタルデーターのポテンシャルを100%引き出し、フォトグラファーの心で見た色、心で感じた光と影をよみとってくれます。単にプリントする機械のハードだけではなく、心での見え方を感じ取って綺麗に、フォトグラファーが捕まえてきた写心という獲物を綺麗に料理して、プリントと言うお皿に盛り付けてくれます。 だからなじみのプリンターを作り、たくさんコミュニケーションし自分の心の中の色と光と影を伝えます。簡単におうちプリンターでプリントするのとわけが違います。お金をいただいて買っていただく作品をお家プリンターではプリントしませんし、無理です(プロ用のプリンターを本当のプロが調整したものはまた話は別です。でもラボの機械は2000~4000万円ぐらいします。ホームプリンターはかないません)もしホームプリンターでプリントして販売するとしたら、お客様をなめています、馬鹿にしています。もし家庭用プリンターでプリントを売るのであれば、それはインスタントラーメンを出すラーメン屋さんみたいなものです。もしラーメン屋さんにあなたが行って、インスタントラーメンが出てきたら、あなたは許せますか。さすがインスタントでもラーメン屋さんと味の違いがないねと心から思えますか?やはり持てる範囲で最高のグレードを提供するのがプロであり、お金をいただく仕事です。 話はそれましたが、そんなことをしてプリントを作ります。これからよりものから心の時代と言われています。どうか日本がカメラ大国から写真文化大国になるためにも、新しいフォトグラファーや僕らの作品を皆さんどうか買ってください。そうしてくれればもっとたくさんすばらしい作品が、いろいろな新しい芽から沸いてきます。クリスマス商戦時期、新しいレンズ1本の変わりに新しいフォトグラファーの作品、週末のゴージャスなフランス料理を1回我慢して、まだ芽にもならないかも知れない新しいフォトグラファー達の作品を買っていただければこの写真の世界は変わります。いつか世界を席巻する新しい日本のフォトグラファーが出てくると思います。 高度1万メートルで空気が薄いせいか、好き勝手なことを書き大変すいませんでした 写真絵本「ちいさないのち」小学館刊売れ行き好調です!ぜひクリスマスのプレゼントにお勧めいたします。 フジフイルムフォトサロン大阪スライドトークショウもヨロシクです 写真展応援クリックお願いいたします ![]()
by masabike
| 2009-12-02 21:23
| 写真アート
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Comments(14)
多々、考えさせられる内容です。
横木安良夫さんも色々と試してます。 微力ながら応援出来れば良いのですが、比較的恵まれた私でも難しいです。
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![]() ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
こんな時間ですが、今撮影から戻りました。
ここ数年、身近で相原さんを見てて、いろんな事が勉強になりました。 走り出した以上、止まるわけにはいきません。 とことんまで突っ走るつもりです。 今後とも是非厳しい目で見てください。 頑張ります。 ありがとう御座いました。
ご無沙汰しております
相原さんの仰るように日本の写真文化・・・もう少し違った形になってくれればいいな・・・と 業界の隅っこで願っているエンゾです 今回、相原さんのようなトップフォトグラファーが上記のようなことを思ってくださっていることが分かり救われた思いです 相原さん ありがとうございます ![]()
>それはインスタントラーメンを出すラーメン屋さんみたいなものです。
そうでしょうか? 他人任せでなく自分でコントロールし採算を度外視してでも想いを追求しプリントアウトする。 それはお金を出して食べたくなるほどの 料理人が自ら作るオリジナリティ溢れるすばらしい料理です。 たとえプロであっても他人であるプリンターにプリントを発注することだけがベストだとは思えません。
必撮さんへ
応援の気持ちだけでもありがたいです。ぜひenzz君とburgさんへ応援を!1
カギコメ2318さんへ
たしかに自分でもポストカード販売していますが、やはりオリジナルプリントと比べられると、何もいえないです
burgさんへ
日本でプリント販売は大変です。でもがんばってください。
enzzさんへ
継続は力なりです!がんばってください
SHINさんへ
おっしゃることはもっともです。でも業務用のプリントマシンと民生用のマシンとの差は差がありすぎます。ただあのブレッソンでさえ、お抱えのプリンターマンがいて、頼んでいたぐらいプリントはおくが深いです。彼が写真を最後辞めたのは、プリンターマンがなくなったためとも言われています。自分でプリントを作り上げると言うのも大事です。でもそれはモノクロ銀塩プリントが限界かもしれません。ながくなりすいません
2318さんへ
いえいえおっしゃるとおりの当たり前のご意見だと思います。ポストカードセットは写真展のときの感動思い出をつなぎとめるツールだとも思います
初めまして(礼)Kashinと申します。以前から覗き見してましたが、高名な写真家への敷居が高く・・・?!
初めてのコメントになりました。プリントに対する考え方に共鳴いたしました!!! また若い人たちを育てるお気持ちに、感動しました!!! 今後とも、お邪魔することを、宜しくお願いいたします(礼&笑い)
tes-musicさんへ
これからもぜひぜひよろしくお願いいたします
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プロフィール
1958年東京都出身。日大法学部新聞学科卒。7年半のサラリーマン生活の後、パリダカールラリーを目指し、そのステップとしてオーストラリアへバイクでの砂漠縦断に行くが、そのままオーストラリアの虜になる。
現在はフリーカメラマンであり、フレンド・オブ・タスマニア(親善大使)としても活動中。 メールはこちらにお願いいたします。 masabikejp@yahoo.co.jp 写真のテクニカル的な質問には、クライアントさんとの関係もありお答えできない場合がございます。ご了承下さい。 ※ サイト内の写真の使用ならびに無断転用を禁じます。 Copyright©MASAAKI AIHARA ![]() ↑ブログランキング参加中。是非クリックして下さい。よろしくお願いします。 ◆相原正明オフィシャルHP New Photography coming Masaaki Aihara Official HP Masaaki Aihara Face book Face book 友達申請の時は必ずコメントお願いいたします。コメントがないと商人いたしまねます。 *相原正明作品収蔵のタスマニアクレイドルマウンテンThe Wilederness GalleryのHP http://wildernessgallery.cart.net.au/cat/2047951.html ◆相原の大型作品が 4点展示されています。 2007.4.27 OPEN モダンオーストラリアン レストラン「Salt」 http://www.pjgroup.jp/salt/ 新丸の内ビル6F (東京駅丸の内北口) ◆ご希望がありましたら、下記『ライフログ』より相原の作品をご購入いただけます。 タスマニアの四季を9万カットの中から厳選した写真集「静かな場所」と、13年間のオーストラリア撮影の総決算DVD写真集「虹大陸」がございます。 ライフログ
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