This is it

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(写真は文章とはなんら関係がございません)


映画が終わった直後、頭の中が真っ白になってしまった。そして何でこの映画が終わってしまったんだろうという悲しみがこみ上げてきた。終わった瞬間もう1度見たくなった。エンドタイトルが終わり場内が明るくなるまで観客の誰一人として席を立つ人がいなかった。

そんな映画あるのという人はいるかもしれないが、その映画こそマイケルジャクソンのドキュメンタリー映画「This is it」だった。この数年間見た映画の中で最も素晴らしい映画だと思う

この10年間マイケルの話題はゴシップ的なものや奇人変人扱い的なものが多かった。僕らもメディアというフィルターを通してしか知らなかったので「ふ~~んやっぱり変わった人なんだ」と僕も思っていた。だからマイケルはもう終わってしまった人というイメージがあった。また音楽もどうせ電子音とコンピューターとマルチ録音システムでどうせ20テイクぐらい録音して、トラックダウンして1曲にしているのだと思い込んでいた。だから今回のこの映画は本当に、本当に度肝を抜かれた

20数年前日本で見たマイケルジャクソンのコンサートの興奮がよみがえっても来た。横浜球場でみた驚きと興奮と楽しさの1時間半。もう椅子の上に立ちっぱなしで手をたたいていた。

でも実は1回だけ僕は1メートルぐらい間近でマイケルを見たことがある。彼の日本滞在中、ちょうど首都高速をバイクで走っていた。土曜日の昼下がりの横羽線。比較的好いている時間。バイクは当時スズキのGS400。川崎を過ぎると、すいているはずの横羽線が突然混みだした。前方が渋滞までもいかないがとろとろ運転になった。車の間をすり抜けて前に行くと、黒いダッジバンの1団が両車線ふさいでゆっくり走っていた6~8台ぐらいの1団だった。ナンバーを見ると警察車両でもなさそうなので、すり抜けて抜こうとすると、窓が開き赤い警棒見たいのが出て振り回され「抜くな」という意思表示をしてきた。かなりムカッと来た。えらそうにという感じだった。とうじまだ20代中盤、熱かった時代。いったん後ろに下がりギャを落とし加速体制をとりしばらく後ろをちんたら走るそぶりを見せたら、警防が引っ込んだので、その瞬間一気にレッドゾーンまで加速して中央突破をした。そしたら一団の真ん中ぐらいのダッジバンの窓が開いて、こちらを見て手を振ってい黒人の人がいる。抜き際、数秒ペースを落とし中の人と眼が会う。「うギャ~マイケルジャクソンだ!」でしたが、併走するわけにもいかずそのまま加速して、マイケルとはバイバイになりました。そんな小さな思いでも大昔。

映画の中でマイケルがスタッフにメロディーラインを歌って説明するシーンが何度もあった。そのときの音感リズム感が素晴らしいので絶句した。現代のPC録音技術の作り出した音楽ではなく、まさに彼の天性が作り出したことをはずかしながら実感した。そしてなんと大事な偉大な人を亡くしてしまったんだという後悔と失望に包まれてしまった。もしこの映画を10年早く製作し、公開したらマイケルの名声はもっとすごいものだったと思う。

またステージで歌い踊り走り回ったあと、ストップモーションになったとき彼の息が切れていないのにもビックリした。まさにきちんとした自己管理フィジカルトレーニングの賜物だと思う。そこに世界最高を目指し、どうやったら観客に喜んでもらえるかを、いつも考える本物中の本物のプロフェッショナルを見た。もちろんリハーサルも完璧。ゲネプロ前のリハーサルでさえ、ステージ本番となんら変わりない。とってもいい意味での高い緊張感とテンション。どこかの国のミュージシャンのようにただわきあいあい、なんか飲みながら食べながらだらだらとは違う、一つ一つが本番。そして終わった後はきちんとリラックスしている。リラックスとだらだらメリハリなくやることを履き違えていない。だからスタッフは毎日生でマイケルの最高のコンサートがただで見れる。世界最高の贅沢かもしれない。

多くのことで写真を撮る僕らフォトグラファーとも共通し、またたくさん学ばなければならないこともあったし、(えらそうに言うならば)自分と同じ方向性のことも見出したので、もっと今の方向でよりパワフルに行こうと、自分の作品作りにたいしてもより自身が持てた。でも本当に見終わって疲れました。エネルギーを費やす映画でした。でもよく僕に写真展も見終わると疲れるといわれます。それは当然だと思います。アーティストが全知全霊を傾け、その命を注ぎ込んだ作品は、作品からもそのエネルギーを放射しますので当然見る人は疲れます。サルガドやブレッソン、そして 野町さんの写真展もそうです、見終わって疲れない作品は本物ではないと思います。

いろいろこの映画から考えることを書いているといくら時間があっても足りません。でも大事なことはなくしてはいけない人を亡くしてしまったことです。福岡で時間があったらもう一度マイケルの映画を見てみたいです。

あらためてマイケルジャクソンさんのご冥福をお祈りしたいと思います 合掌





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by masabike | 2009-11-25 18:21 | 写真アート | Comments(6)
Commented by burg at 2009-11-25 18:41 x
人の脚と鳩の脚が・・・w
GS400懐かしいです。
僕が初めて乗った単車がGS400でしたから。

マイコー、確かに近年の報道だけで判断すると「変な人」ですね。
しょうがない、今度一緒に銀座中央通りのホコ天でムーンウォークやりましょう。
最後までちゃんと付き合いますから(爆)
Commented by un-chat at 2009-11-25 21:37
私は未だに見ていない「見たい映画No.1」なのですが、
お書きになっている通り、誰も席を立たず拍手さえ起こるそうですね。

厳しい世界で自己を研ぎすます事を決して諦めない人間の持つパワーは偉大です。

相原さんのお写真もまた見終わるとパワーが大き過ぎて疲れますよ^^
やっぱり本物は違います!
Commented by 通りすがり at 2009-11-25 23:35 x
はじめまして。通りすがりコメントで失礼します。
マイケルと間近で遭遇体験、すごいですね!マイケルは熱心なファンが追っかけてきたんだと思って手を振ってたんじゃないでしょうか?ファンを何よりも大事にしていた彼らしいエピソードだなあと思いました。ご紹介くださってありがとうございました!
Commented by masabike at 2009-11-26 07:47
burgさんへ
GS400乗っていたんですか?湘南爆走族だったの??ムーンウォークをするなら竹下通りかな?
Commented by masabike at 2009-11-26 07:48
ねねさんへ
絶対見てください。あと2日で終わってしまいます。僕の写真展来る前は焼肉食べて元気付けてきてください
Commented by masabike at 2009-11-26 07:49
通りすがりさんへ
本当に今思えば追っかけファンだと思ったんでしょうね。映画の思い出大事にします
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