人生ターニングポイント2 シンプソンデザート

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FUJIFILM F200
Nikon D700 Nikor28~70mm

 スペシャル プロビア100Fを持って撮影にオーストラリアに行くことが決定し、テーマは誰も見たことない地球の風景、しかも最低でもナショジオレベル・・・。と言う感じで絶句していたところさらに追い討ちをかけるようなクライアントさんからのアサイメント。「できれば3~4日後には撮影にいけないですかね?」とのお言葉。内心「え~信州か北海道に撮影に行くのではないのに」でしたが満面の笑みで「何とかしてみます、ノープロブレム、でも飛行機の予約もあるのでカンタスさんにお電話してみます」ということで以下のやり取り。電話したのはカンタスさんの現場の一番キーパーソンの女性の方
「こんにちはカメラマンの相原です、実は急にオーストラリアに行くことになりまして、行き先はアデレードなんですけど」
「あらそう、でも急にってまさかあさってとかじゃないんでしょ?」
「そのまさかの明後日が希望で・・・。」
「(絶句)・・・・。でも手ぶらじゃないんでしょ?また山のような機材があるのでしょ?」
「あの~~60キロぐらい・・・。」
「どこのお仕事?写真展用?観光局用?」
「富士フイルムさんの広告の撮影としかいえなくて(守秘義務書類にサインしているので詳細がいえないことになっています)・・。」
「う~~ん」
「とりあえず全世界展開用のポスターとしかいえなんですけど、しかも協力で御社のお名前が入れられないのですが・・・、すいません」
「相原さん、そのお仕事って人生ターニングポイントになるお仕事?」
「間違いなくそうだと思います」
「解りました。では1時間時間ください、何とかしてみます」
それから永遠と言うか、ブラックホールに吸い込まれるような1時間が過ぎ、カンタスさんのスタッフの女性からお電話がありました
「ご希望の日にちにオーストラリア国内どこでも機材100キロ持ってどこでもいけるように手配しましたのでエクセス(荷物超過)のリストくださいね。各荷物の大きさと重さよろしくね」

でも富士フイルムさんに「ホテルでの発表会のときバックアップをしていただいたカンタスさんのスタッフの皆さんを呼んでいただけないか」とおねがいしたところ「もちろんウエルカムです」と言う答えを聞きホッとしました・

ということで、アメリカの海兵隊並みの緊急展開でオーストラリア撮影に行くことになりました。でもさらに厳しい条件が・・。

新作フィルムは機密保持のため出発当日、出発直前にしか受け取れない。国内でのテスト撮影禁止。1本たりともなくさないこと。誰にも撮影のことを言ってはいけないこと(F社の社員の人にも)、そして帰国して成田に着いたらどんなに汚い格好でもいいので、西麻布の本社に来ること。その際受付でご用件は?と聞かれても「新作フィルムもって来ました」とか、間違ってもいわないことなどなどでした。
最後に僕は「撮影がうまく行かなかったら、再撮はどうしましょうか?」と聞くと「再撮はないです、うまくいかなかったらここプロジェクトのスタッフみんなの将来がどうなるか・・。シベリア転勤かな?」なんていわれたのでさらにブルーになりました

そして18日間で撮影する場所絵コンテを自分の中でリストアップすると30ぐらいありました。レンタカーも通常のディーゼルのランクルではハイウェイで遅いので(真ん中のノーザンテリトリーはスピードノーリミット)V6インタークーラーDOHCガソリンエンジンのランクル借りました。山のような荷物を持ちアデレードに到着後すぐランクルで今回の撮影したのと同じシンプソンデザートへ。最終的に18日間で8500キロ走りました。
撮影中はプレッシャーで胃が痛くなり、砂漠で胃薬飲む羽目になり、また撮影終了時は体重は10キロ近く落ちました。目の下はくまで真っ黒でした。

帰りのフライトはシドニーを離陸する瞬間しか覚えていません。そのあとず~~~つと成田まで死んだように寝ていました。美人のスッチーさんに「お客様、成田ですよ」と起こされるまで、寝ていました。寝ぼけて思わず「わー寝過ごした終電ですか?」と聞きそうになりました

そして10日間お風呂に入らない格好のまま、西麻布の本社にめでたくフィルムを届けましたが、そのときの受付嬢の疑わしく怪訝な顔つきは一生忘れません。なにせ短パンTシャツワークブーツでしたので。

そんなわけでおかげさまで撮影は大成功で、都内ホテルでの発表会にお呼び頂き作品は大好評でした。

そんなわけで皆様の使うフィルムのテスト&広告作品は出来上がります。ですから今でも僕はプロビア100Fが一番思い入れのあるフィルムです

そんなことをこのシンプソンデザートに行く道を走っていると思いだします。いろいろ旅の話がそれて長くなりごめんなさい


撮影協力
南オーストラリア州政府観光局


カンタス航空


写真絵本ちいさないのち(小学館刊)よろしくおねがいします


by masabike | 2009-11-18 06:58 | アウトバック | Comments(13)
Commented by green at 2009-11-18 08:16 x
相原さん、お帰りなさい。
お疲れ様でした。
撮影のお話すさまじく寡黙な世界ですね。
相原さんにしかできないお仕事、またお話をきかせてください^^
またお忙しい日々が続くと思いますがお体に気をつけてくださいね。
Commented by burg at 2009-11-18 09:57 x
改めて聞くと凄いしか言えません。
今度からあなご寿司食べます(爆)
Commented by Pombo_Brasil at 2009-11-18 10:06
カメラマン「トラの穴」を垣間見た気が・・・(汗)
Commented by aruphoto at 2009-11-18 12:04
本当に凄いお話です。
プロビア100Fを使うときは、このお話を思い出しながら撮影します。
Commented by ponta3456 at 2009-11-18 19:53
おかえりなさい♪
それにしても・・・ホント・・・凄いとしか言いようがないですね(^_^;)
チャンスの神様の前髪を掴むのには・・・
普段の積み重ね以外に、その時の度胸が必要なのですね。
Commented by ふじた at 2009-11-18 22:37 x
職種は違えど、こんな大きな仕事してみたいです。
こつこつ頑張ります。
Commented by 満月 at 2009-11-18 22:48 x
プロビア100F誕生秘話、相原さんも、富士フィルム担当者さんも、クァンタスさんも、みなさんの思いが詰まったフィルムなんですね。
明日、1本買って、カメラバッグにお守り代わりにしまっておきます。
Commented by masabike at 2009-11-19 19:31
greenさんへ
ユンケル1ダースほしいです
Commented by masabike at 2009-11-19 19:32
burgさんへ
アナゴ寿司+焼きトン+豆腐です
Commented by masabike at 2009-11-19 19:32
ブラジルさんへ
まさにトラの穴、しかも底なしの穴
Commented by masabike at 2009-11-19 19:33
pontaさんへ
もう運だけです
Commented by masabike at 2009-11-19 19:33
ふじたさんへ
基本はロバのようにこつこつ歩むことです
Commented by masabike at 2009-11-19 19:34
満月さんへ
こんどそのプロビアにサインします。サイン名はブラピがいいですか?(笑)
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