清流夏色図

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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「清流夏色図」高知県仁淀川町 仁淀川
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF45-100mmF4 R LM OIS WR
日本一の清流と呼ばれている仁淀川。その色は仁淀ブルーと現地では呼ばれているほどだ。毎年、梅雨から初夏にかけて四国に撮影に行くが、仁淀川のこの色に誘われて、必ず訪れる。数年前も撮影に訪れた際に、仁淀川にかかる橋から子どもたちが川に飛び込み水遊びをしている光景に出会った。何か失われてしまった日本の原風景を見た気がした。川が生活に一体化している場所、それが仁淀川だと思う。


このエメラルドグリーンともいえる独特の仁淀ブルーは撮影ではかなり曲者。なかなか思うように色を捕まえられない。晴れた日の昼前後の日差しを捕まえないと、自分の納得のいく仁淀ブルーに再現ができない。実はこの昼前後、朝11時頃からしばらくの間は標準光と言われる時間帯だという事を、だいぶ前に教えてもらった。それは1999年、新たに発売予定のPROVIA100Fのコマーシャル撮影で、オーストラリアにロケに行った時だ。当時の開発担当者の方から「どのような風景でも良いので、必ず、毎日朝11時頃から撮影をしてください。その時間帯の光は標準光と呼ばれ、被写体の色をいちばん正確に再現できる時間。PROVIA100Fは色再現世界一を狙うフィルムなので、正確な色が出る時間帯の撮影データが欲しいんです」と言われたのだ。この作品も撮影したのは午前11時過ぎだ。眩しい陽の光のもとで見る仁淀ブルーは、写真家の心を虜にしてくれる。この色が見事に再現できたのは光の条件もあるが、GFX & Xシリーズのフィルムシミュレーションの力が大きい。多くの写真家が撮影してきた富士フイルムのフィルムによる色再現技術がその根底にあるからだ。写真家をはじめ、膨大な撮影記録のプロファイリングも活かして生まれたフィルムシミュレーション。もちろん僕がオーストラリアで撮影したPROVIA100Fのエビデンスも含まれているだろう。他のメーカーでは成しえない、富士フイルムならではの技術だ。



今回もGFX100Sは難しい仁淀ブルーを見事に表現してくれた。実はこの清流の水を求めて、友人がアメリカから日本にビール造りにやってきた。仁淀川町の山奥で、この清流の源となる水を使い仁淀ブルーをイメージした地ビールを製造している。それほどに、世界的にも素晴らしい水質の清流だ。


撮影した晩、撮影データのダウンロードとチェックをした。ほぼすべてのシーンでGFX100Sは僕の心の中に映し出された仁淀ブルーを再現してくれた。その透き通るような透明感とブルーグリーン、グラデーション。そして初夏の光のキラキラ感。心が満足した。ただし、撮影のために自分でも注意している点がある。少しでもフレッシュな光をレンズに取り込むため、このような場合は、保護フィルターも外して撮影している。気の持ちようかもしれないが、少しでもレンズの前に存在するものを少なくすれば、より新鮮な光がレンズに入る透過率を高められる、というのが僕の持論だからだ。



作品データを確認しながら、今度ここに来るときはどんなイメージで撮ろう、と早くも次の撮影へのアイデアが湧いてきた。写真を撮る全ての者が求める、心の中の色を再現できるGFX & Xシリーズ。そのカメラを肴に、今宵は仁淀ビールで乾杯した。心の中に仁淀ブルーが広がっていくのを感じながら眠りに落ちた。
Photography by Masaaki Aihara



相原正明撮りおろしの三和酒類様From OITA 「koji note」 風林光水  フォトエッセイぜひお楽しみください







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by masabike | 2022-08-18 18:05 | 日本風景 | Comments(0)
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