庭の心 FUJIFILM X series Face bookより転載









【和の「写心」 By Masaaki Aihara】

「静かな春」
FUJIFILM X-Pro2 + ZEISS Touit 2.8/50M
マクロエクステンションチューブ MCEX-11使用
フィルムシミュレーション ACROS/アクロス

朝、雨戸をあけると少し甘い香りがした。一夜にして庭の梅がほころんでいた。朝起きて顔も洗わず頭の中は撮影モードに切り替わる。明るい日陰に、柔らかな春の陽が降り注ぐ。僕の家の庭がスタジオになる。

よく遠くに行く時間がないから、風景やネイチャー写真が撮れないという方がいる。気持ちはわかるが、それは足元を見ていない、日常をしっかり見つめていないと思う。家の窓から見える景色、窓辺の花、街路樹の枝、近所の公園の花壇。被写体は困るほどある。僕が一つ思うことがある。自分の家の庭で作品を撮り、それをまとめて個展が出来たら、それがある意味究極のランドスケープフォトかもしれない。だがまだ今僕にはその力がない。
いつでもすごい瞬間はあまりにも日常の中に転がっている。かのアンセル・アダムスでさえ、いつも通る、お決まりの撮影の道で、名作「ハコヤナギ(原題:Aspens, New Mexico 1958)」を撮ることに出くわす。いつも見ていても、ついつい気が付かず、その日その時の光が見慣れた日常を作品に変えてくれる。光の在り方、ハイライトからシャドーへの綺麗な、光線は見慣れた日常をフォトグラファーの心の中に作品として焼き付けられ、その心に見えた記憶色に導かれシャッターを押す。

そのアンセルアダムスの心がX-Pro2には、生きている。実は、X-Pro2のアクロスモードは、アンセルアダムスが構築した、写真表現の金字塔「ゾーンフォーカスシステム」を充分研究しつくし、取り入れているとX-Pro2のあるエンジニアが言っていた。この着眼点と写真に対する哲学。これは他のメーカーでは難しい、富士フイルムという写真メーカーだからこそできたと思う。X-Pro2のアクロスモードそして新たに搭載されたグレイン・エフェクトは、そんな日常を作品にしてくれる秘めたる画質の力を持っている。スペック競争ではない、何を表現するかという写真本来のあるべき姿をX-Pro2は指し示した。やっとスペック競争から抜け出し、本来あるべき写真の道への扉を開けてくれたと思う。

10年程前、クライアントから「あなたはフィルムカメラですか?デジタルですか?」と聞かれた。そのあとは「何画素のカメラですか?」「フルサイズで仕事をしていますか?APS-Cサイズですか?」あるいは「どのメーカーですか」と言う質問が多かった。ただ次の10年いや5年でそれは大きく変化する。これからのクライアントからの質問は「あなたはXで撮影していますか、それ以外ですか?」となるだろう。

その訳はX-Pro2のグレイン・エフェクトと新しいフィルムシミュレーションは日常のすべてを作品にしてくれるからだ。

 
Photography by Masaaki Aihara
http://fujifilm-x.com/photographers/ja/masaaki_aihara_07/
http://aiharap.exblog.jp/



by masabike | 2016-03-17 00:43 | マイガーデン | Comments(0)
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