パリテキサス

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FUJIFILM X30


おととい、初めてビム・ベンダースの映画パリテキサスを見た。もちろん家でレンタルDVDだが。お恥ずかしい話、写真家なら見るべき映画だったが今までチャンスがなく、きちんと見たことがなかった。ロードムービーの金字塔と言われながら見ていなかったのは、はなはだお恥ずかしい限りだ。

正直言って、びっくりしたというか、145分間画面に映像にくぎ付けになった。145分間、写真が連続しているのだ。1フレーム、1フレーム切り取りプリントしてポートフォリオや部屋に飾りたいぐらいだ。各シーンの構図と色遣いがアートだ。構図でいえば主人公と、バックの雲との位置関係。手に持ったグラスにあたる光の位置。すべてワンシーンワンシーンが写真作品だった。そして映画全編で赤の色遣いがとても上手だ。冒頭のオープニングタイトル。ファーストシーンの主人公の赤い帽子、ほかにも随所に赤を上手に配置している。つまり全カットが監督の決めた1枚の絵の中で、どこに役者を配置し、その役者が絵の中でどのような位置と役割をするのかどのような小道具が必要か、、そのためにどのようなライティングが必要かすべて緻密に計算されている、あるいは感性というか本能で直観的に決められている気がした。映画を見終わった時に145分の写真展を見た充実感があった。昨年見た”LIFE”もそうだった。ともかく写真の連続性。

でも日本映画ではこのようなものがとても少ない(すいません僕が知らないだけかも知れません。ご存知の方がいたらお教えいただければ勉強になります)昔の黒沢監督や小津監督あるいは、砂の器の野村芳太郎監督の作品はまさに素晴らしい写真の連続でしたが、最近は予告編を見ただけで見る気が失せる日本映画が多いです。(せっかくストーリーやコンセプトが面白そうなのに余計残念です)どうしても日本では映画は役者さんの人気に、おんぶにだっこをしすぎると感じるし、ライティングにしても役者の顔に良い光が当たるか、あるいはまんべんなく主役の美男美女に光が当たるかだけのような気がする。どうもライティングが一辺倒な気がする。フレーミングもそう思う。役者さんの表情にどれだけうまくアップで寄れるかが中心で、1枚の絵として、その中で役者さんがどのような、役割というか監督の駒で動くかが感じられない。また役者さんのバックの光や小物の処理が見苦しいシーンが多い。自分が映画を撮ったら、このフレーミングにしたい、ここに小物を置かないとか、この背景のボケはこうすると思うのが多い気がしてならない。写真ではなく単にエンドタイトルに日本では「撮影」ですが、むこうでは”Photography”とでてくる。その違いは大きすぎると感じる

パリテキサスで一番印象的なシーンが、別れた男と女が怪しげな風俗店のマジックミラー越しに重なり合うシーン。まさに現代アートのような作品だった。その次が最後のカットで主人公の男が駐車場で車に乗り込むシーン。とても緻密に計算された立ち位置だと思う。この2つのシーンを僕は部屋に飾りたい。写真家を映像だけでこれだけ釘付けにできる映画を日本の映画人の方作ってください。昔の監督たちは、映画ではなく「いい写真が撮りたい」と言っていた。まさにそのひとこといい写真が動く、まさに活動写真。そんな映画を期待する。タレントの人気だけの映画と宣伝費を見せつけられる映画はもうこりごりだ

写真は映画の中で主人公が田舎のアメリカンダイニングで食事するシーンがあった。ついついそれに影響され今朝はファミレスでモーニングしてしまった。影響されやすいタイプなので・・・


ANA鳥取美人物語 をご覧ください








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by masabike | 2015-04-25 07:59 | 写真アート | Comments(2)
Commented by Advdia at 2015-04-27 09:28
Robbie Mullerさんが撮影監督の作品ですね.Jim Jarmusch監督のdead manやDown by Lawもそうです.特に後者のダンスシーンはアーウィットの写真のようですよ.ちなみにwim wendersさんは相原さんと同じようにXp panで撮った写真集を出されています.また,米国の廃墟などを写した写真集はParis,Texusの下敷というか兄弟のようなものかもしれません.
Commented by masabike at 2015-04-29 08:37
Advidaさんへ
とても参考になりました。ありがとうございます。写真集探してみようと思います
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