深山紅色図

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今週もfacebookがご覧になることができない皆様にFUJIFLM Xシリーズの僕の作品を見ていただければと思います

「深山紅色図」 山梨県 北杜市白州町付近


FUJIFILM X-E2 + FUJINON XF55-200mm/3.5-4.8
1/20秒 F9 -2.7EV ISO200 WB晴れ
フィルムシミュレーション Velvia/ビビッド

 
今年の紅葉は当たり年と言われている。この一ヶ月、北海道から東北、信州と旅したがどこでも全山燃えるような色だった。でも個人的に紅葉で好きなのは、モノトーンの世界にぽつりと色が残っている情景。今回も南アルプスの麓で、静かな林の中に「我は秋なり」と言わんばかりに色づいた葉が凛として存在感をアピールし、ぼくに「撮りなさい」と言わんばかりのアイコンタクトを送ってきた。派手ではないけどその小さな葉から力強さを感じた。

実はこの写真一枚を撮るのに30分ぐらいかかっている。その訳は他にも蔦の絡まる木がこの林にある。それぞれの蔦と木の位置関係を考えながら色々と撮っていく。そして詰め将棋のように自分の満足に行く位置関係を探してゆく。だからこの作品を撮るまでに100カット以上撮影している。撮っているときに考えていることは二つのことだけ。

1)構図 木と木の間のバランスと、背後に生える木との関係
2)露出 色を鮮やかにかつ重厚感を見せながら、背後の森のディテールをどこまで出してどのようにつぶすか。

そのために露出は-0.3~-3EVまで振り撮影。そして木と木の位置関係はカメラを数センチずつあるいは数ミリずつ上下左右に移動させてしっかり三脚で固定して構図を詰める。FUJINON XF55-200mmは手ブレ補正もついている。でもきちんとした風景、建築、物撮りをするときは、物理的に許せる限り三脚を使用する。しかもしっかりした三脚。これにはさらに二つのわけがある

1)構図が1ミリ違って、メインとなる木の後ろから別の木が顔を出したら台無しになる。実は真ん中の木を若干左にオフセットしている理由はそこにある。構図的に若干左にすることで、右の空間があき、森の広がりと奥行きが出る。そしてこの木の後ろにあるもう一本の紅葉の木をすっぱり隠し通せる。もしここで構図が若干左右にずれて後ろから別の色が出てきたら、絵として主題が多すぎうるさくなる。主役がだれかわからなくなる。そのために1ミリのずれも許さない。
2)引き伸ばしたときの鮮鋭度
いくら手ブレ補正がついているとはいえ、補正に変わりはない。補正しなければより鮮鋭度の高い絵が撮れる。それはすなわち大伸ばしに耐えられることだ。ちなみにXシリーズでは展示会などでタタミ三畳大までプリントしている。

そしてここからが今週の「和の写心」で一番皆様にお伝えしたいこと。
「写真はプリントして初めて作品となる」
現在はコンテンポラリーアートなどでは、モニターなどでインスタレーションとして伝える場合も多い。それはそれできちんとしたコンセプトで素晴らしいと思う。ただ僕個人もそうだが、多くの美術館(メーカー系の写真ギャラリーではない)のキュレーターの主たる意見は「写真はプリントして初めて写真になり、作品となる」ということ。これは世界、特にヨーロッパでのアートの世界では常識だ。PCやスマホの画面上ではまだ画像である。そしてプリントしなければ出てこない世界観がある。今回の作品は特にそうだ。木と木の間に潜む何か、被写体とレンズの間に存在する凛としたもの。それを表現するにはプリントだ。FUJIFILM Xシリーズは富士フイルムのXプリントや富士フイルム系ラボのプリントマシンでプリントすることで最大のポテンシャルを発揮するセッティングになっている。だから僕はいつもプリントすることを考えしっかり丁寧に撮影する。現場での細かい露出の設定、きちんとした三脚等を含めて丁寧な撮影もすべてファインプリントを創るためだ。

2014年秋。紅葉は当たり年。素晴らしい秋の色をXで撮影して、プリントしてみてください。きっと来年も、十年後も何十年か後も、あるいはあなたのお子さんやお孫さんが見る時代になっても、あなたの部屋や、あなたのフォトブックにきっとあなたの心の中の色が残ると思う。あなただけの素晴らしい思い出と一緒に。

もう一度最後に。「写真はプリントして初めて写真になる」

 

by masabike | 2014-11-05 21:54 | 日本風景 | Comments(4)
Commented by ryutapapa at 2014-11-05 22:17
この作品はぜひぜひ個展のプリントで拝見したいです。
よろしくお願いします。
Commented by masabike at 2014-11-06 10:20
ryutapapaさんへ
ぜひこの作品で写真展したいです。しばしお待ちを
Commented by みつる at 2014-11-06 10:41 x
こんにちは、いつ見てもため息をつくばかり。
写真展で見たいと思いますが、チャンスがありません。
 このところ怠けていたので、明日は大判で、白黒鐡をしようと思っています。
Commented by masabike at 2014-11-06 11:49
みつるさんへ
これからも精進して良い作品撮りたいと思います
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